トップガイド › モンスターの鳴き声の作り方|実在しない生き物の声を合成する

モンスターの鳴き声の作り方|実在しない生き物の声を合成する

ドラゴン、ゾンビ、スライム。存在しない生き物の声はどう作るのか。音程の動かし方・喉の共鳴・唸りの振動など、実際に使っている手法を解説します。

存在しないものは録音できない

犬の鳴き声なら録音できます。ドラゴンはできません。ゲームや映像作品に出てくる怪物の声は、どこかで必ず「作られて」います。方法は2つ。実在の動物の声を加工する方法と、ゼロから合成する方法です。

当サイトは後者です。40点のモンスターの鳴き声は、すべて波形計算から作っています。参考にしたのは、初代ポケモンの鳴き声が録音ではなく合成だったという事実です。ゲームボーイの音源で、音程を掃引したパルス波にノイズを混ぜるだけで151種類の鳴き声を作っていました。

音程の「動き方」で種類を分ける

最初に作った試作は失敗しました。9種類作ったつもりが、聴き比べると「高さが違うだけの同じ音」に聞こえたのです。原因ははっきりしていて、9種のうち7種が「上がって下がる」という同じ形だったからです。

そこで、音程の動き方そのものを種類ごとに変えました。短い上昇を連発する、一貫して下降する、中心音のまわりを高速で往復する、方向を持たずふらつく、ほぼ一定を保つ、階段状に跳ぶ、二段で落ちる。この違いが、そのまま生き物の性格の違いになります。

たとえば小型の敵は短い鳴き声の3連発、狼型は長く伸ばす遠吠え、機械生物は滑らかに繋がらない階段状の音程。同じ「鳴き声」でも、動き方が違えば別の生き物に聞こえます。

喉の共鳴が「生物らしさ」を作る

音程を動かしただけでは、電子音のままです。生き物に聞こえさせる決め手は共鳴でした。

動物の声は、声帯で作られた音が喉や口の空洞を通って外に出ます。この過程で特定の周波数が強調されます。これを再現するのが共振器です。2〜3段重ねて通すと、同じ音源が急に「肉のある声」に変わります。この工程を外すと、どれだけ音程を凝っても電子音に戻ります。

唸りの振動と、層の重ね

低い唸り声には、細かい震えが含まれています。20〜60Hzで音量を揺らすと、声帯の粗さに近い質感が出ます。

さらに、わずかに周波数をずらした層を重ねると「うねり」が生まれます。ずれた2つの波が干渉して、ゆっくりとした揺れを作るためです。1層だけだと平坦で機械的に聞こえるので、大型の魔物ほど層を厚くしています。

巨大さは低音と地響きで作る

古竜の咆哮は、基音を64Hzまで下げています。さらに52Hzの地響き成分を脈動させながら重ね、上に火を吐く高域のノイズを乗せました。長さは1.9秒。

体格を音で表すときの原則は単純で、大きいものほど低く、長くです。当サイトでは被弾音を小・中・大の3種類用意していますが、開始周波数を1500Hz・620Hz・230Hzと変えてあります。3つ並べて聴くと、体格の違いが音だけで伝わります。

使い分けの目安

雑魚敵には短いもの(0.4〜0.6秒)、中ボスには中程度、最終ボスには2秒級の長いものを割り当てると、強さの段階が音で表現できます。出現・鳴き声・被弾・断末魔をセットで用意しておくと、戦闘の流れが作りやすくなります。

実際の音はモンスター・魔獣カテゴリで聴けます。合成手法の基礎については効果音をゼロから合成する方法もあわせてどうぞ。

ほかのガイド